株式会社エクスイズムが主催するセミナー「ePub3.0 標準化の行方」セミナーに参加しました。概要は以下の通りです:
- 日時: 2011 年 3 月 29 日 (火) 18:30-20:30
- 場所: 市ヶ谷健保会館
- 参加料: 無料
- Ustream: CAS-UB-EPUB-SEMINAR 03/29/11
- Twitter Hashtag: #epub_cas
第一部「ePub 3.0 仕様の行方」についてまとめます。スピーカーはアンテナハウス代表取締役社長 小林徳滋さんです。
ePub おさらい
ePub は IDPF によって策定されている。
ePub 作成ソフトとしては sigil が有名。
Amazon は ePub から Kindle 形式へ変換する KindleGen を公開している。また、ePub 入稿も受け付けている。
ePub の歴史
- 1999 年: ePub の元になる OEB ができる
- 2007 年: ePub2.0 策定
- 2009 年: Sony Reader が採用
- 2010 年: iBooks (iBook Store) が採用
ePub の現状
日本の電子書籍において、epub の割り合いは小さい。日本における電子書籍の大半は、シャープの XMDF と ボイジャーの .book の 2 形式が大勢を占めている。
epub 劣勢の大きな理由は、販売流通ルートが未開拓なため。epub の大手販売店と言える、アップルの iBook Store や Google の Google eブックストアが日本上陸していない。epub を読める Reader に、Sony Reader もあるが、epub の販売はしていない (XMDF 書籍を販売)。
なお、日本の電子書籍市場の大半はコミック (まんが) が占めている。
代表的な Reader — Adobe Digital Editions
Windows で使える代表的なリーダーは Adobe の Digital Editions。
実際に使ってみると、「マージンがちゃんと取れない」「配置が綺麗でない」「括弧と文字の間が離れている」「行末が揃っていない」等、不満点が多い。
ePub3.0
ePub3.0 の歴史
- 2010-05-24: ePub 3 仕様策定グループ結成 (最初は ePub 2.1 を作る予定だった)
- 2011-02-15: First Public Draft が公開
- 2011-05-15: 策定予定
ePub3.0 には日本語テキスト・レイアウトに関する要求仕様が含まれた。
ePub 2.0 vs 3.0
EPUB2.0 | EPUB3.0 | |
---|---|---|
Text | XHTML1.0 | HTML5 |
Style | CSS 2.0 | CSS 3.0 |
Navigation | NCX | HTML5 nav 要素 |
SVG | 画像として挿入 | 文章本体で利用可能 |
MathML | オプション | 必須 |
SVG が「文章本体」で利用可能になるということは、コミックなどでの利用が期待される。
ePub3.0 では日本語組版能力も向上: 縦組指定・禁則処理・約物の詰め処理・圏点・ルビ。また、Text to Speach 機能、Media Overlays 機能などオーディオ・ブックとしての機能も強化される。
ePub の市場
ePub 書籍の流通市場は Adobe, Google の書籍サービス開始に依存するだろう。
感想
ePub について、断片的な情報しか私は持っていませんでした。今回のセミナーに参加することで、ePub の現状について大まかに知ることができました。特に ePub の大手流通市場が「ない」というのは、このセミナーで初めて知り参考になりました。
セミナーの最後で ブクログのパブーが ePub 販売をしているそうなので、試してみたいと思いました。
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